ひとつ 警笛/木立 悟
雨の鳥
夜は狭く
髪の内の海
霧は軋む
いつのまにか 朝は文字になり
昼には音になり 土に吸われた
夜は ひとりだった
夜は あたたかだった
むらさきの雨の実
虫たちの世界樹
降る珠は割れそそぎ
水から水へ飛び去る曇
幻日のはじまりと終わり
冷たい痛みの無さへの疑い
月曜日の静けさ
仮定の 静けさ
羽のはざまに増える羽
まばたきの度に夜は夜になり
光は光 水は水に重なり
灰に虹の柱を建ててゆく
影が影をくぐる径
左の左の冷たさへ
舵をふたつ切りながら
尽きない水の坂をのぼる
壁の
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