人は誰でも骨壺へ/こたきひろし
 
れちまって
救急車で病院に運ばれた
言い出したから
そんな話聞いてねえぞ
私の方は頭に血が上ってきた
すると父親は言った
お前なんかに知らせたくなかったんだ
みんなお前に気を使ったんだよ
いつも忙しく働いているお前によ

でも今度ばかりは父ちゃん駄目だからよ
お前にも親の死に目に会わせてやらなきゃならないからよ
そう言うもんだから
私は怖くなって
父ちゃんの気持ちはわかるけど、そんな事自分でしたら死期を早めるだけだろ
私はやさしく言い聞かせるように言った
すると父親は
わかったよ、お前のいう通りだ
父ちゃんは病室のベッドに戻って眠るよ
すっかり父親は大人しくなって受話器を切りそうな気配に
私は思わず大きな声で制止した

父ちゃん、眠っちゃ駄目だ!
と。

父親の葬儀では
私は骨壺を抱かせる役目を親族から言われた
焼かれたばかりの骨は熱くて
骨壺は持っていると火傷しそうだった。







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