店内の明かりの下で/こたきひろし
その小さな洋食屋はオープンキッチンになっていた
店内には四人がけのテーブル席が三つとカウンターに椅子が五つつ並んでいた。
マスターは二十代半ばの男性で、その街に独立して店を出す前は都心の割りと大きいレストランで働いていたらしい。
その頃、私は十八歳。地方の高校を出て上京しそこでコック見習いを始めて半年くらい経っていた。だけど私がその店で働く事になった事情はどうでもいい。それを文字したら何だか自分が惨めな気持ちになるだけだから。
ただ言葉にできるのは、けして料理の道を目指しての事ではなかった。
単純に言えば、時がきて生まれ育った家から出ていかなければならない状況だったからだ。
真
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