詩人ではなくて歌人でありたい/こたきひろし
 
歌人という音の響き
歌人と言う人に憧れを抱き
見よう見まねで歌を詠み始めた
少年の日

石川啄木を読んでは心が震えました
万葉の歌を諳じました
与謝野晶子の恋情の詠みに痺れました


歌人と言う音の響き
歌人と言う人に憧れを抱き
見よう見まねで歌を詠んだ
少年の日

少年のままに
少年のままに
老いてはしまえばよかった
老いてしまいたかった
それは許されず

振り返れば
人生と言うノートに書きためた
歌、歌、歌
数えきれない歌の数数が
風に捲れめくれて
果ては千切れちぎれて
飛ばされていくばかりだった

一冊の歌集も編む事もなく




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