しあわせな造物主/腰国改修
としか思えない博士の虫たちの群れが施設を目指していた。彼らに与えられた三つのプログラムのうちの一つ『侵入』はその後、容易に行われて成功した。途中で、何体かは本物の虫と間違われて殺虫剤をかけられた。その瞬間は仰向けになって脚をばたつかせたり、腹ばいのままよろよろと本棚の下へ逃げ込んだりと殺虫剤が効いた振る舞いをするが、すぐ元通りになり、違うルートを進み出した。
二つ目のプログラム『解錠』は、まさに地震発生の数秒前に行われる。解錠は、冷凍保存室の鍵を開けるためではない。その証拠に虫たちはすでに保存室に入り待機している。解錠するのはたった一カ所、博士の父親の頭部が保存されているコインロッカーのよう
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