しあわせな造物主/腰国改修
ようなボックスのドアの鍵だ。全身保存と頭部保存では料金が倍ほど違ったため、浪費家の割に妙なところで吝嗇な彼は躊躇いもなく斬首系(それが適切な表現かどうか分からないが)を選んだという。
博士は、今でも父親像を憎しみと恐怖の念で形成している。幼い頃から、理不尽に殴られ、蹴られ、ときには縛られたり、水に浸けられたりされ、十代になり第二次性徴の兆候を見せはじめたころ、鬼畜のような父親に犯された…
トラウマなどという言葉で済ませることではなかった。いつか復讐を、いつか自分が受けた以上の屈辱と恐怖を与えてやるのだと思いながら生きてきた。その念いを達成できる瞬間が迫っていた。
十一時二十八分。
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