立つ/犬絵
毀す
やわらかな夢
その力、
逆らえず、
無様にも、
嘲笑され、
でも、
立っていた
立っていた
それでも、
立っているしか
なかったんだ
いまとなっては
そのこころねの
清らかささえ
懐かしい
声がする
喜びの
歌声が
ひとかけらの星を
つつみこみ、
告げるには
少し
小さめの、
かすれた声が
喜びの、
ふりをした、
声でしゃにむに
歌うのを
うつむきながら
聴いている
雨は止み
街の
ひかりは
夜空へ
昇り
星の
ひかりに
成ると
いう
ひかれ
ひかれ
聖なる
十字架
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