アカペラ/ミナト 螢
 
あの歌の中に僕が生きていた
嘘みたいな言葉を本気にして
色褪せずにただ染まっていたくて
君の声だけが道を広げた

抱きしめるように独占できない
メロディはやがて誰かの心を
いっぱいに満たす平等な愛で
浸されてゆく朝の陽射しだろう

手で掴みたかった光はいつも
僕の目を潰し逃げていってしまう

君が見せている優しい世界の
裏側に潜む影を踏めたら
僕は何を信じていくのかな
裸の自分になれない癖に

もう音楽は通り過ぎたから
振り返るなよ遠い眼差しで

五感に澄み渡る言葉の響き
メロディが作る音の階段で
待ち合わせる歌を君は歌え
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