壮絶な恋の果てに---シューマンの精神分裂病的な美の世界/st
 
ブラームスを世に出したことだけが

救いとなっている


ブラームスはこのあと

クララに恋をし 果たせぬものとあきらめて

その面影のある娘に恋をすることになる


もちろん正常なときに

作曲したと思われる曲も多いが


そんな曲のなかでさえ

よく聴くと

不安定で不気味な部分がある


精神分裂病的(統合失調症的)な美として

最も好きなのが

ピアノクインテットだ


この曲は

全楽章がすばらしい


しかし精神分裂病的だと思われるのは

それらの楽章の性格だ


終楽章のような第一楽章からはじまり

まともな第ニ楽章の次の第三楽章で

この曲が終わったかと思うと

第四楽章がはじまるという異様なもの


まさに分裂の美としか

いいようがない


とはいえ 聴きたくなるのだから


この 分裂 不安定 不気味 こそ


シューマンの芸術の魅力なのかもしれない







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