あこがれ/ゴデル
 
いられた

彼女と恋人になるのは
蟻が蝶と暮らすようなもの
僕には羽がないので
そこは無理なんです

当たって砕けないで良かった
失いたくなかった
所有もしてなかったけど

だから友達でいられた

時が来て
人間同士が
普通に別れるような
別れがやってきた
今日のような秋の日

「これからどうするの?」
彼女が言った
「マスコミに就職する。」
僕は言った

嘘だ
思い付きだ

「似合ってるよ、頑張って。」

それが最後
この世のものではない
妖艶な彼女

「さようなら。」

僕は
胸の中でだけ泣いた
見上げると空は
やはり高くて
蒼くて
宇宙まで見透かされて見えた

気がした

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