オルガンの景観/
印あかり
霧のつぶが
ここらに留まっている
セイダカアワダチソウが
しっ
と立ち尽くしている
秋は秋でさみしいから
オルガンを弾く
幼き
亡き王女に寄せたこころを
いつまでも
鍵盤は濡れそぼり
赤い実が
とっ
と
転がった
それからさみしさが糸を紡ぎ
いくえにも
いくえにも
あの日のたおやかな蝶を待っている
いつまでも
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