空を飛ばない円盤/こたきひろし
る様子だった
そんな義弟をさなえは日頃から痛々しい思いで見ていた
夫とは体の契り何度か交わしていたが、心も体も馴染まない内に相手は戦争に持っていかれてしまった
義弟はやさしい男だったし、さなえとは年が近かった
それが災いを呼んでしまったかもしれない
家に二人きりになった時、つい魔が差してしまった
その時に作ってしまった秘密が、点火してしまったお互いの心と体の火の回りを加速させた
しかしそれは禁断の関係に何ら変わりはなかった
二人は人目をおそれ親にもばれないように
夜、静まり返ってから家を抜け出した
近くの湖岸に繋がれた小舟の上で声をひそめて語らいそしてお互いの体を重ねた
その夜
湖上の上で月が美しく浮かんでいた
その時
爆音が響き渡り
はぐれた敵の飛行機がいきなり降下してきた
同時に小舟に向けて機銃が発射された
それから高く上昇すると
空中で姿を消した
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