きみは最強のノーマルタイプ/青花みち
小指で伝う葉脈のか細さをきみは知ろうとしない。生きるうえで不要なのが繊細さなら、搭載された生き物は最初から負けているの。きみはいいな、と指で葉をなじった。神さまを信じないきみこそが、神さまに愛されているのだという。まな板のうえで触れる魚のつめたさを、鶏肉の気持ち悪さを、トマトのなまめかしさを、なんでもない目で真っ二つにして、テレビの中の子どもの演技に本気で涙していたね。すり潰した緑が黒ずんで爪が汚れた。意識すら向けないきみの涙の方がよっぽどうつくしいと思う。舐めると苦い指を切り落として、愚鈍に勝利したいって、きみにならえ。
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