陽向臭い匂いと雨の匂い/こたきひろし
 
ちに連れてけよ。
すると瀬死に横たわる父親はかすかに口を動かした。
悪いな、後もお前に任せるよ。
と、言ったのだ。

その時、側で聞いていた私は
父親への
長いながいそれこそながかった。
近親憎悪の感情が一度に解けだして来るのをおさえられなかった
それはきっと
切ろうとしてもそれが叶わない
血の繋がりがそうさせたのに違いなかったんだろう。

そこには
自分自身への憐れみの感情も加味されていたかもしれない。


憎んで憎んで憎みきった。
父親の最期を拍手喝采で見物に来たはずなのに
思っても見なかった方向に感情の舟が押し流されたのだ。
いつの間にか私の目に

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