陽向臭い匂いと雨の匂い/こたきひろし
私は
私の人生の途中で二度
自らその命を絶ってしまった人の葬儀に参列した事があった。
一人目は同じ工場内で働いていた五十代の男性。
とは言っても勤める会社は違っていたからほとんど口を利いた事はなかった。
彼はフォークマンだった。工場内でフォークリフトを運転して製品をトラックに積み込む作業に従事していた。
詳細は語れない。私達は大きな企業から物流部門の作業を委託された運送会社の社員だった。
それは大企業に寄生している虫と言うべきだった。
極めて弱い立場の働き蟻だった。
しかし蟻の存在なくして巨大企業は成り立たない。
ある日
蟻が一匹、重大なミスを犯した。
フォークリフ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)