清秋/AB(なかほど)
 
清秋


空清しとは季語のみで
ここ数年は
雨や風の災いに心痛めたり
意味のない達弁に
うつむいてしまいたくなる
そんなことが多い

それでも
ほんとの清秋が突然にやってくると
僕は
なおたまらなくなる空がある




{引用=どうして降ってくれなかったんだろうね


初めての男の子を
六ヶ月で持っていかれた母は
あらん限りの声を
張り上げ

それはどこまでも澄んだ
秋の青空に吸い込まれていった

その煙もやがて
秋の青空に吸い込まれていった




明けて静かな正月


少し笑顔の戻ってきた母の顔を見て
また
あの青
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