松水の子守唄/竜門勇気
賢く言った
あなたを私は大事に思っている
なくしたくない
そう言った
最初の人は寂しがることはしなかった
あなたを守ると言って
くだらない危険を飲み込んでみせた
それは地を這う小さな虫だった
それまで彼の友達だった
三人目が初めて見る自分以外の姿に驚いたのを見て
最初の人は冷酷な指で
彼をつまみ、口にしたのだった
それから小さな虫は針を身にまとうようになった
三人目は去った
最初の人は神に祈った
私より去らないものを遣わしてください
手を取り同じ景色を見て
私と同じことを聞き、嗅ぎ、私が思うように喋るもの
離れることのないものを遣わしてください
神は哀れに感じて
最初の人の目鼻と耳を二つにし
いくつもあった舌と口を一つにした
終わりの場所をあの星に運ぼう
いくつもあってはいけないから
終わりが来たら眠りなさい
あなたが眠りを軽んじれば
神は一つを残して取り上げなさる!
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