木に恋してた娘っ子/
福岡朔
闇に身をひたし木に触れる
彼らのしめった呼吸を感じた
みどりの息を吐きながら
従順なけもののように在る
手のひらに伝わる拍動は
自分だけのものではないと信じた
木にも鼓動はあるのだと
わたしの皮膚と樹皮のはざまに
通いあう何かがあるのだと
とうに故郷を離れた 時は流れて帰れない
なつかしい木々
あの名で呼べば も一度応えてくれますか?
蘇るのは真夏の夜の 樹皮のつめたさと拍動
仰ぐ枝ごし見えてた月と木に恋してた娘っ子
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