砂漠のオレンジ/花形新次
 
砂漠で見る
オレンジは
鮮やか過ぎて
つらい
────自称詩人 やすじゅん

人質で思い出すのは
黒澤の用心棒だ

良い母親の司葉子が
人質交換されるとき
離れ離れの
幼い息子に触れようと
必死の思いで
駆け寄るのとは対照的に
敵対勢力に捕まった息子が
解放されると
山田五十鈴演じる悪い母親が
「迷惑掛けるぐらいなら死ね」
と息子を張り飛ばすシーン

私は何度見ても
山田五十鈴演じる悪い母親に
悪い感情を抱いたことはない
むしろ「その通り!
息子のおまえ!だらしねえぞ!」と思う

一方、良い母親の司葉子はと言えば
助けられたときに
二度と近
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