優しさの断面/十一月の失敗作
 

もう優しさが違うから

グラスの冷たさも忘れるくらい心が凍っているのがわかる


「知らない」ことを恐れていたはずなのに
感情そのものをぶつけてくる瞳がこわい


この沈黙があなたの答えだとわかっているよ

苦手だった煙草の香りさえ
今は記憶を呼び出すひきがねとして愛せる


代わりの言葉なんて探さなくていいよ

何度も飲み込んだ「さよなら」をちょうだい


もう優しさが違うから

もう優しさが違うから

その優しさが苦しいから


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