夜をかがる/青花みち
宵の切りくち、触れて、きっとベルベット。本当の黒なんてどこにもなかった。なでた場所から裂けていく夜をかがり縫う。濃紺であり、薄墨の、暗いからよく見えない、黒ではない黒色。ひと刺しごとに指先へと重くのしかかるので、遺伝子の秘密、すべてここにある気がします。地球の回転とともに遠く遠くへ広がって、果てを知らないまま針を差し入れる。わたしを眠らせない孤独がいいね。明けない夜もあるのだと知ってしまったから。首をかしげているのなら、この胸をほどいて見せてあげるよ。あとで、あとで、あとでね。
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