ジャンケンを/こたきひろし
留所からバスに乗り家の近くで降りた。
そして谷垣みさよの家に向かって歩いた。
みさよの家に近づくにつれて僕の心臓は尋常ではいられなくなった。
みさよとは幼稚園もいっしょ。小学校もよくいっしょに遊んだ。
時にはふざけてじゃれあってキスしてしまった事もあった。
なのに中学の頃から距離が生まれてしまったのはなぜだろう。
小さい頃二人でよく遊んだ家の玄関の前に着いた。
直ぐには呼び鈴を押せなかった。何度も躊躇ってやっと押した。
みさよの両親は共に働いていた。この時間は家にはみさよ一人しかいない筈だがわからない。
一人だとしたら警戒して出て来ないかもしれない。第一具合が悪くて休んで
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