わたしをひとりにしない滅亡/青花みち
愛してくれるひとがいるのに死にたいと口にするのはただの贅沢、贅沢なんだよってあの子が泣いていた。返事をする代わりになだらかな夜を撫でた。ビロードの手触りがわたしの心を穏やかにして、わたしの世界、きみの世界、平行線が引かれていく。葬いだけが愛なのだと確信しているの。本当は知っているんでしょう、きみも。原初の記憶、指で伝いながら、浮遊する水の上。生ぬるい肉がほどかれる。融解する。行き着く先も帰る場所もいつだって同じ。そうやって、きみがひとりでに沈む時の、孤独のなめらかさに気づいて。
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