選ばれなかった人へ/花形新次
 
選ばれなかった者の
焦燥と未練が
クソ自称詩を生む
───自称詩人 江面はうんど

生まれた瞬間から今まで
誰からも何からも
選ばれたことのない人間が
生きているうちに
一回だけでも良いから
イイねって言われたい
だけど自分には
何の才能も知恵もない
もちろん美貌もない
途方に暮れていたときに
はたと気付いた
日本語を話せるってこと

「そうよ、日本語があるわ
私には日本語があるのよ!」

本当は、てにをはも儘ならない
日本語も不自由な人なのに
それを逆手にとって
意味不明こそが
現代自称詩なのだと開き直り
我が物顔でクソ自称詩を
撒き散らし始める

選ばれなかった人へ

いい加減に
そんなことは止めて
真面目に働きなさい
一所懸命勉強しなさい





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