神秘の白鳥/藤鈴呼
カモメの漂う水面の色が綺麗で
見とれていた
歯を食いしばっても食いしばっても
喰い尽くすことの出来ぬ秋の落葉に飽き飽きして
踏み締めたのは
厚く塗られたアスファルト
塗り絵のように
カラフルではない
何処までも 何時までも続くかと思われた雪も
たった今 溶けた
厚いタイヤに阻まれて
熱い吐息に晒されたならば良かったのに
見上げると十字を切る白鳥
ちょっとランダムな髪の毛が見える
空の向こうに飛び立てぬのだからと諦めたふう
この世は何処までだって えげつなく回り続ける
吹き抜けるような丸い穴の向こうに
青い空が広がっていて
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