穩野間(のんのげん)から底山(のやま)町へ/竜門勇気
 
てはならない。辻で会っても畏怖してはならない。穢れない場所にも、穢れない場所にも収受を経ず祟種を植える。紫の石があれば鏡にして持てば良い。なければ金の羽、鏨の貝殻、逆巻きの溝で良い。起こっておればわろし。帰らず、持たず、乞うようにして食うこと。

「泉籠」 地名。穩野間の中程。

「李餅」 彼岸花の球根と長芋のムカゴの餅。蒸したそれらをすり鉢と沢の石で擦ったものを川べりで洗い、残ったデンプンを焼いたもの。食用にはせず、枕団子として供える。しばしば、かつてそこにあった営みは消えた、として棟上げで投げられる。独特の淡いきゅうりのような匂いがする。

「汽車砲の西」 地名。三好を作る際に使わ
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