使えない男は/こたきひろし
 
使えない男だ
どこへいっても何をしても
結果、使えない男だろう

極めて上から見下されたその言葉に
職業人としてのプライドはズタズタ
男としての立ち位置はグラグラにされた

「おい、もう一度いってみろ」

上司の胸ぐらをつかんで一発殴ってやりたかったが、現実は一言も言い返せずに黙ってしまった
俺はたしかに使えない男だと納得せざる得ない
仕事のミスを重ね。反省はするがふたたびミスをする
俺は正真正銘の使えない男なんだよ。

使えない男ね
役立たず
私を満足させられないで、いっつも自分だけ先にいって
それでよく男かつとまるわよ
我慢に我慢をかさねてきたの
女にこんな台詞を言わせないでよ

だけど
たしかにあんたは使えない男だけど
似た者同士
私は使えない女だから
あんたに見棄てられたら行き場をなくして
きっと野垂れ死にするから
このまま男と女でいるわ

これを愛情とは言えなくてもさ
あんたの人生に付きまとってあげるから



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