渚にて/ホロウ・シカエルボク
 
ゃないはずだった、窓を見るとフナムシで埋め尽くされていた、そこには哀しみがあるように思えた、「なにもしないでくれ」「放っておいてくれ」そこに張り付く以外どんなこともない彼らのアクションは、そんな思いを連想させた、額に手を当ててそのおぞましい光景を振り払うと、開けたままのドアから小屋を出た、ひときわ高く乾いた音がして、フナムシたちは帰り道を示すようにここまでの道だけを開けて見せた


砂浜にはリズムの残骸、すべてが夢だったといえばそれで済みそうな気さえする、色のない陽炎、グレイス・スリックの歌声がどこか遠くから聞こえているような気がした。



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