九月出航/
塔野夏子
君の背に
あらたな白い帆があがる九月
夜明けのうす青い空に
銀色の雲
君のその帆が
どんな風をはらんで
君を何処へつれてゆくのか
君は半ばは予感し
半ばは不確かさにおののいている
それでも君は
ためらわず出航してゆく
記憶と憧憬を携えて
君を標(しるべ)する霊感が
(これまでもたびたびそうだったように)
訪れることを信じて
夜明けのうす青い空に
銀色の雲
その彼方をめざす君の白い帆が
ただ美しい九月
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