真夜中の東京はきみの彩度を上げていた/青花みち
 
瞬きするたびに肌を刻んで、わたしは大人になっていく。昔よりもぼやけた視界のどこかで、この街では星が見えないと舌打ちが聞こえた。ここも誰かの故郷なのだと、わたしたちは時々忘れてしまうね。この目が誰の輪郭もなぞれなくなる時が必ず来るのなら、ビルのネオンさえ蛍のひかりのように錯覚できる未来も連れてきて。そうしてきみの故郷が一番うつくしい世界だと、心の底から肯定してあげたいと思う。
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