手の上の月/仁与
 




眩暈は麗しく不確かな場所へと誘う


「 手の上の月」 
              

眩暈は激しく

私は床の上に横たわる


木目の模様は波状の図柄

ひんやりとした床の上に

密接した背中が


額にのせた温かい手が

やさしく囁いた


私は

その手を有り難く

思うのだろう


閉じた瞼の端から


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