僕らは揺れているだろう/ホロウ・シカエルボク
 
なものだったのかもしれない、などと
適当な悟りを鼻で笑った

僕らは揺れていて、そして
生きているフリをしている
空っぽの日記を読まれることが怖くて
ぎっしりと書き込んであるように見せている
詩人がやたらと喋りたがるのはきっとそのせいだ

明日どこかでばったり会えたらいいね
確実に会えるとわかっていたら
僕は家を出ることはないけど
約束は心を重くするから
僕のことなんか忘れたみたいにしてくれているとありがたいよ

僕らは揺れている
繋いだ手の感触を不快に思いながら
僕らは揺れている
おためごかしのたびに
口が歪んでいくのを感じながら
僕らは揺れている
ただただ自分を愛しながら
そしてどうしようもなく憎悪しながら

いつかその意味がわかるとき
誰を愛するべきかわかるだろう
いつかその意味がわかるとき
誰を殺せばいいのかわかるだろう
どこの誰の世界にだってきっとそいつしかいないのに
僕らはずっと知り合いみたいな顔をして生きている

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