大掃除の詩/ミナト 螢
 
開かなくなった引き出しの数だけ
未来が閉ざされるような恐怖を
抱えたままの冬の陽だまりで
溶かしてしまおう逆立てた髪を

言いたいことがひとつずつ消えても
私はただの人に戻りたくはない

掃除機をかけて誰かの心を吸い込んで
自分のものにするから空っぽなんだ

食べ終えたクッキーの箱みたいに
美しければ使い道はある

送られてくるダイレクトメールを
送り返すためのタイムマシンに乗って

遡る時代、能力が落ちる前
私の消費期限を伸ばせると
短い光の過去が呼んでいる
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