モメンタリ・モーニング/ホロウ・シカエルボク
きみは小さなころから
時計というものを信じなかった
刻まれる時間というものを
まったく信用しなかった
朝と昼と夜だって
なければないでいいと考えていた
それはだれかの都合のために設定されたものであって
きみの世界とはまるで関係のないものだって
ある意味で
便宜的な世界がきみとは関係のないものになってしまったけれど
きみはそのことには気づかなかった
きみが居るのならばきみの世界というものがかならず存在するのだし
そんな線引きにこだわるのは馬鹿げたことだって思っていた
きみはあまり眠らなくなった
きみはあまり食べなくなった
きみはあまり喋らなくなって
きみはきみを信じなくなった
今夜は夢を見るだろうか
あの夢のなかで
きみは
なにかちがう出来事を起こしてみたいと考えるばかり
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