ちいさいひとり/「ま」の字
のままどうしても
木のしたにすわっているちいさい一人
もってうまれてかかえたままの
ちいさい一人なのだ
おい
生まれた意味など詮索するな
意味はもう持っている どうしようもないんだよ
ほほうそれで
もってうまれて かかえて
ずうっとすわっているとは
なんだ嫌がらせじゃねえか
いやいや 興ざめたおっさんがおに いまさら興ざめるなよ
すこし身のあつさこそうすくなったが
あれは
まばらに揺れるくさのあいだに
なんだかわからないけれど頑としてすわっている
おれと 釣りあいでもとっているというか
ちらちら
かおなど はいいろにぼやけてきても
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