ネコと逃げる/ペペロ
カーテンの隙間から駐車場をのぞく。意味がなかろうとのぞく。
意味がなかろうとネコをさがす。いや、ネコには意味がある。
ネコが現れたときは、流れが変わるとき、予期せね流れができるとき。
その差異に気づくことで、ぼくは生き延びてもきたし、殺してもきたのだ。
ノックする音がした。どんな音がするのか確かめるような叩き方だ。
さあ最大のピンチであり最大のチャンスだ。
しばらくの無音。ぼくはちいさくネコの鳴き声を発した。電子ロックが外れる音。
二種類の声がした。日本語ではなかった。
熱湯が彼らに噴射されたのだ。衣服にしみてしばらくは普通ではいられなくなる。
それでも体幹だけで前に出た
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