Storytelling, Again 2018・9/春日線香
葉が雨音を弾いている。灰皿には吸い差しの煙草と、アプリコットティー、机に珪化木、散らばったディスク。繰り返しの喜劇と悲劇。何もかもが夢だったらと思う時もある。投げ出した小説を開き、栞がわりに挟んでいた絵葉書を眺めている。雨に閉じ込められて静かに、いつまでも眺めている。
* * *
明るい昼間に歩く僕の内臓は重い
死と夢がいっぱいに詰まった袋を持たされて
パトカーの脇を過ぎていく
残像を曳いて
どこまでも行けると信じている
誰が無理と言おうとも
自分でさえ思いもよらぬ距離を
遠い国まで聴きに行く
無限の無駄話 花よりも確かな
地下水の音楽
悪い風の囁き声を
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