水精とは/
本田憲嵩
も夜になると
ボクじゃないもう一人のワタシが居る?
しかし これさえもさして変わり映えしない単調な日常の牢獄から
振り子の原理さながらに
ぼく自身が編み出した
潤いという 膨らみに膨らんだゼリー質の半透明な夢の重し
生活の乾いた岩石と常に釣り合いを取るための 夢と現実の両天秤
水精とは
すなわち女性の瞳の水面(みなも)のように青く澄んだ僕のなかの潤いの結晶体
つまるところぼく自身がその水精だった
という訳なのさ
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