ジェニーは夕暮れのあとで/ホロウ・シカエルボク
時に覆い隠されたギヤマンが灰の底の火種のような声で歌をうたっているころ、脱皮した蛇の皮のような感情でジェニーは横たわっていた、道端で調子のいい男から買ったドラッグはひどいシロモノでトリップというよりはトラップに近かった、いくらなんでもこれはあんまりだわ、とジェニーは吐き疲れた身体が回復するのをそうしてもう二時間は待っていた、涙と鼻水と涎と吐瀉物の欠片で顔中汚れていることは判っていたけれどそれをきれいに掃除するにはもう少し楽にならないと無理だった、すこしでも頭を動かすとソフトビニール製のボールが頭蓋骨の中で跳ねているみたいに目が回った、もうこんなことやめよう、そう思うのもいったい何度目だろう?や
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