星星/本田憲嵩
(記憶の夜空に浮かぶ
(過去の星星は
(幾億光年という長い歳月を経た
(客観性の強い光を帯びて――
つい先日 北海道全域が地震と停電に襲われた
ぼくの住むこの赤い夕陽の市(まち)でさえ
家屋こそ倒壊はしなかったものの
その夜は
夜よりも さら暗い
夜に世界は包まれ
そのひとときだけ観測できる
貴重な鉱物である星星を
首が痛くなるまで
いつまでも
採取して
そう 何度でも 何度でも
たとえいつもは視えないものだったとして
失うことでしか確認できないことをいつも繰り返して
いったいなにを得てゆくだろう
(客観性の強い光を徐々に帯びながら――
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