白い洗面器/
仁与
君がまた
髪を風になびかせていたから
僕は
君の手首をつかみ
あの部屋で
僕らは
洗面器に温かいお湯を張り
冷たくなった両手をつけ
運命とか
赤い糸とか
石鹸で
何度も洗い流し
救済と云う文字を
浮かべるんだ
君の手が
僕の手が
重なり合い
ふたりで
ふたりで
おもいっきり泣くんだ
西日しか当たらない
この部屋で
全ての想い出を
破壊しながら
君がまた
髪を風になびかせた
その時に…
……
2017 . 1. 4 アメブロにて記載
戻る
編
削
Point
(2)