俺の心に/こたきひろし
詩が書けなくなったせいで
何も書きたくなくなった
詩の一編は
米一粒にもならない
空から落ちてくる無数の水滴
温かい空気は冷たい方に移動して
電気の溜まった天空に稲妻が走る
だからと言って
俺の心に溶岩が流れ込んだりはしないさ
冷めた眼で
醒めた感情で
呼吸している
詩が書けなくなったせいで
自分を嫌いになったりはしないさ
詩を書けなくなったせいで
人を嫌いになったりはしないさ
だって
俺の詩なんて
人の心に落ちても
一粒の泪も流れたりはしないんだから
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