金平糖草と野うさぎ/愛心
花が慰めるように野うさぎに唄います。
あなたの足が速いように。
魚が自由に泳ぐように。
鳥が空を羽ばたくように。
わたしにはこの声があるのよ。
野うさぎは自分のよく聞こえる耳が、美しい音に包まれる心地よさに、そっと目を瞑りました。しばらくして、規則的な寝息が聞こえると、花たちは幼い訪問者を起こさないように、また、優しく唄い出しました。
今は星。 のちに花。
声なきもの。 か弱きもの。
だから唄う。 花のために。
小さなわたし。 一輪の花。
湖の水面に満月が映ります。良い夜です。
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