燃える太陽が/こたきひろし
とく破壊された。
彼は電気をつけようとして絶望した。水道の蛇口をひねって望みを絶たれた。
それからアパートの部屋のドアを開けて外に出た。
彼の眼には凍結した街の景色以外見えなかった。
街の至るところで人間は凍死していた。
一組の男女が抱きあって口をつけあって、死んでいた。
若い男女の男の方は知らない顔だった。女の方はよく知っていた。
彼は周辺の家の物置からハンマーを調達してきた。
ハンマーを使って男の遺体を粉々に砕くと、残った女の体を抱き締めて、彼は自分の体温で暖めれば女は生き返るに違いないと必死になった。
すると女の体はみるみる内に解凍して命を甦らせた。
それから彼は女の耳に口を近づけて甘く囁いた。
時間がないよ、僕らは一刻も早く一つになって、世界で二組目のアダムとイブにならなけばならないんだから。
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