キリストとフクロウ/ホロウ・シカエルボク
の背丈と同じくらいの木の枝が落ちていた。それは少し身をよじった十字架のような形だった。十字架か、と俺は思った。十字架にはキリストが必要だろう…。俺は森の方に少し戻り、折れた枝をいくつか、それと割れた石を持って広場(そう呼ぶことにした)に戻った。石で拾ってきた枝の先を削り、十字架の脇と背に突き刺して立たせるようにした。それだけで夜になった。俺は眠ることにした。真夏の夜のせいか、あまり寒さは感じなかった。これまでないくらいぐっすりと眠ることが出来た。自分の魂が身体から抜け出して、どこか遠い空を彷徨っているみたいなそんな眠りだった。夜明け前の寒さと、控え目な白さのせいでゆっくりと目が覚めた。習慣的に顔を
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