海上へ 2018・7-8/春日線香
 
越しに峰が輝き、美しい三つ子のように並ぶ塔の周りを大勢がそぞろ歩くのが見える。高原の爽やかな風が首筋に触れる。


         * * *


夜、自分で自分の髪を切ってお湯で流したところ。外では風が吹き荒れ、窓に重い空気の塊が当たる気配がする。奇妙に空腹ではあるけど食べないほうがいいだろう。そっと自分で自分の頬に触れると、顔がある。幸福でも不幸でもない。速度の遅い台風が今、東の海上に逃れていくらしい。




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