神の蕾 ☆/atsuchan69
 
悪の力について話すと、まずそれは人類が築いた膨大な量の知識であり、科学であり、文明の礎である。たぶんそれらは真の神を必要としない、もしくは、「悪そのもの」の究極の姿が‥‥いや、ちがう。むしろ「悪そのもの」に反する、あの動物じみた集団的エクスタシーがもたらす得体の知れない生命の躍動が【神】なのかも知れなかった。それでも大勢の無知なる人の心には、感情から芽生えたコミュニケーションの背後に自然発生的な概念である善と悪とが差別化され、すなわち盗みや殺人は「悪」であり、また報酬を求めない協力や支援が「善」であるという「小さな共同体のルール」が彼らの生活を通じて幼少の頃から刷りこまれている。文明は彼らにとって
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