晩夏にて/asagohan
戻ってきて晩夏
アスファルトの上を蟷螂が逃げていく
コウロギたちが目をさまし
囁きの波に揺られる、、、
まんまるお月
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青い空の下を
クリスタルカイザーのウォラ
舌でころころころがして
下を向いたら
でっぷりとした青虫が葉の上で
寝そべってた。瞬間に。
蒸した身体の中を
スッと通り抜ける
水。
夏。
一つの時代の最後。
まあ、時代は言い過ぎか
...じゃあ年号か?
年号が変わるだけなのに
さみしいのは私だけ?
…なぜなんだろうな
愛着があり過ぎる。
実家を建て替えるんだと
いろいろ片づけた先に。
古箪笥の古い古いアルバムから
明治時代の先祖の写真。
きっと死んだ祖父が貼ったんだろう。
通過した時代を思い出してと
先祖が言っているようで。
私達はここにいたんだよと
言っているようで。
私は秋虫のように囁くのでした
忘れないよと。
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