赤真珠/田中修子
 


 このごろできたともだちが
 てんで ばらばら 好きかって
 ひとりは恋を
 ひとりはうたを

遠くの家の窓明かり

なみおと耳にのしかかり

 父さんの亡霊が涙ぐんでやってきて
 わたしは さけび

橙いろのらんたん消えて(まぼろしが)

くらい浜辺にひとりぼっち 腕の子らも きえ

 波はたぶん翡翠の色ね
 おしよせておしよせて

赤い人魚 なんですよ
 にんげんでは ありませんよ
  波間にほどけて消えていこ すべてはうたかた
   赤い真珠が 一粒 ころん
    翡翠に金に 赤真珠……
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