赤真珠/田中修子
北の
夏の終いの翡翠の海に 金の夕映え
ありまして
黒い夜 黒い波が
どこからか押しよせてくるのです
どこからか
ひえてゆく 色とりどりの浜辺でね
赤いカーディガン羽織ったともだちが
へたっぴダンス
そのこは いつだって なんだって
ぶたれないよう しにものぐるいで歯を食いしばり
みんなの憧れの王様のように チェシャ猫みたいに
ミャアミャア笑っているのにね
しっぽはふくれて いるんです
くすぐったそに わらいながら
ひとりぼっちの少年みたい
わたしは子らをあやしながら
黒いっしょくの波音に
橙いろのらんたん灯り(まぼろし)
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